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最高裁判所第二小法廷 昭和52年(オ)838号 判決 1978年5月01日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人乙黒伸雄の上告理由第一点について

手形訴訟の第一回口頭弁論期日において原告が訴訟を通常の手続に移行させる旨の申述をし、被告において右期日に出頭せず答弁書その他の準備書面を提出しなかつたため原告の主張した事実を自白したものとみなされる場合に、裁判所が民訴法四四八条に基づき同法四四七条二項所定の書面を被告に送達することなく口頭弁論を終結したときは、裁判所は直ちに右書面を被告に送達することを要するが、右書面が被告に送達されないまま判決が言い渡されても、そのことは、判決に影響を及ぼさないから、控訴裁判所が右判決を取り消すべき理由とならないと解するのが相当である。これと同趣旨の原審の判断は正当であつて、原判決に所論の違法はない。論旨は採用することができない。

同第二点について

所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。論旨は、ひつきよう、原審の専権に属する証拠の取捨判断、事実の認定を非難するものにすぎず、採用することができない。

よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 本林 讓 裁判官 大塚喜一郎 裁判官 吉田 豊 裁判官 栗本一夫)

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